「誰かに相談したい」の正体

経営者には、誰にも相談できない時間がある。従業員には話せない。家族に話しても伝わらない。同業の知人に話せば、情報が漏れるかもしれない。そんなとき、頭に浮かぶのが「経営コンサルタントに頼もうか」という選択肢だ。

一方で、最近は「AIが経営判断を支援する」という話も聞くようになった。ChatGPTに相談する経営者も増えている。コンサルタントかAIか。どちらが自分に合っているのか。この問い自体は自然なものだが、答えを急ぐ前に、少し立ち止まって考えたいことがある。

そもそも自分が求めているのは何なのか。答えなのか。壁打ち相手なのか。それとも、自分では気づけない視点なのか。求めるものによって、選ぶべき相手は変わる。

コンサルタントが得意なこと、不得意なこと

経営コンサルタントの最大の強みは、経験の蓄積だ。過去に似た課題を持つ企業を何社も見てきた人であれば、パターン認識の精度が高い。「御社のような規模でこのフェーズだと、こういう課題が出やすい」という見立ては、経験なしには語れない。

しかし、コンサルタントにも限界がある。月に一度の面談で、会社の日常を把握するのは難しい。経営者が話したことしか情報がないから、経営者自身が気づいていない問題には触れられない。また、コンサルタントも人間だから、相性の問題がある。そして、費用は安くない。月額数十万円から数百万円のコストは、従業員5名〜50名の企業にとって軽い出費ではない。

AIツールが得意なこと、不得意なこと

ChatGPTのような汎用AIは、質問に対して即座に答えを返す。情報整理やアイデア出しには優れている。しかし、経営判断の支援という文脈では、一つの弱点がある。AIは「聞かれたこと」にしか答えない。

経営の本質的な課題は、経営者自身がまだ言語化できていないところにあることが多い。「何を聞けばいいかわからない」という状態で汎用AIに向かっても、表面的なやりとりに終わってしまう。

経営者が本当に必要としているのは、答えではなく、正しい問いかもしれない。自分では気づけない矛盾や、見て見ぬふりをしている課題を、静かに差し出してくれる存在。それはコンサルタントでもあり得るし、別のかたちのAIでもあり得る。

「答えを出す」と「問いを届ける」の違い

コンサルタントは答えを出す。提案書を作り、戦略を描き、実行計画を立てる。それが価値であり、それに対して報酬が支払われる。AIツールの多くも、何かしらの答えを返すことを価値としている。

しかし、従業員5名〜50名規模の経営者にとって、本当に足りていないのは答えだろうか。多くの経営者は、答えを知っている。何をすべきかは、実はわかっている。ただ、それを言語化する機会がない。あるいは、別の角度から自分の判断を見つめ直す機会がない。

Sentioは、答えを出さない。会社のデータを読み取り、矛盾や変化の兆候を見つけ、週に一つの問いを届ける。「採用を強化しているのに、求人ページのメッセージが2年前から変わっていない。これは意図的なものか」。そんな問いが、経営者の思考を揺さぶる。

どちらが向いているか、という問いの立て方

コンサルタントとAI、どちらが向いているかは、今の自分が何を求めているかによる。戦略の策定や組織再編のような大きなプロジェクトには、経験豊富なコンサルタントが適している。日々の判断の質を少しずつ上げていきたいなら、継続的に問いを届けてくれる仕組みが合うかもしれない。

あるいは、「自分は今、何を求めているのか」という問い自体が、最初に向き合うべきものなのかもしれない。