「まだ早い」と思ううちに、時間は過ぎる

60歳になりました。元気だし、まだまだ現役のつもりです。それでも、ふとした瞬間に「いつまで自分がやるのか」という考えがよぎる。

事業承継は、考え始めてから10年かかると言われます。気づいたときに動き出さなければ、間に合わなくなります。

事業承継は、経営者にとって最も先送りしたいテーマです。自分の終わりを考えることに近いからです。だからこそ、考え始めるタイミングが遅れがちになります。

事業承継は、考え始めてから実行までに10年かかると言われます。気づいた時に動き出さないと、選択肢はどんどん狭まっていきます。

承継先を決める前に、整理すべきこと

親族か、社員か、第三者への譲渡か。多くの経営者はここから考え始めます。しかしその前に、整理すべきことがあります。「自分はこの会社で、何を残したいのか」です。

残したいものが明確になって初めて、承継先の条件が決まります。

承継先を決める前に、自分が会社の何を残したいのかを言葉にします。事業か、文化か、社員の雇用か、地域への責任か。残したいものによって、承継先の条件は変わります。

承継先を決める前に、自分の経営の何を残したいかを言語化します。残したいものが不明確なまま承継を進めると、後から迷います。

数字の整理は、信頼の整理でもある

事業承継の準備は、まず数字の整理から始まります。決算書、株式、不動産、借入。承継先が誰であれ、ここが曖昧なまま進めると後でトラブルになります。

そして数字を整理するプロセスは、自分の経営を振り返るプロセスでもあります。

数字の整理は、信頼の整理でもあります。ここを後継者と一緒にやることで、信頼関係が深まる。

後継者は育てるものというより、見つけて任せていくものです。任せて、失敗を見守り、また任せます。これを5年続けて、ようやく経営者になります。

「承継の準備を始めたら、自分が何を恐れていたかが見えた。」
— ある経営者の言葉

後継者は育てるものではなく、見つけて任せるもの

「後継者を育てる」という言葉は美しいが、現実は違います。後継者は育てるというより、適性のある人を見つけて、徐々に任せていくプロセスです。

任せて、失敗を見守って、また任せます。これを5年続けて、ようやく後継者は経営者になります。

「育てる」ではなく「任せる」が承継の本質です。任せて、失敗を見守って、また任せます。この繰り返しが後継者を経営者にします。

承継後の自分の人生をどう生きるかを、承継準備と同時に考え始める経営者は強い。喪失感に襲われずに済む。

承継を決めたあとに残る問い

承継先が決まったあとも、経営者の中には問いが残ります。「自分は、何者として次の人生を生きるのか」。経営者という肩書きを外したとき、自分には何が残るのか。

事業承継は会社の問題であると同時に、経営者自身の問題でもあります。

承継後の自分を想像する

承継の準備で多くの経営者が後回しにするのが、承継後の自分の人生設計です。会社という拠り所を失ったあと、自分は何者として生きるのか。

この問いに答えを持っていない経営者は、承継後に喪失感に襲われやすい。逆に、次の楽しみを準備していた経営者は、解放感を味わう。

事業承継は会社のためだけではなく、経営者自身の次の人生のための準備でもあります。